はぐみー!
「ジャズ!!」
「Come on my girl!!!」
今日も今日とてパパに手を引かれて基地にやってきたアナベル。俺を見つけた瞬間に顔を輝かせると、パパの手を振り払って俺の胸めがけ全力疾走。
パパ――――――――レノックスから注がれる殺意たっぷりの視線がえげつないが、胸に飛び込んできた愛しい小さな温もりがそんなもの消してくれる。
「今日も可愛いな、アナベル」
おでこにキスをしてやれば少しくすぐったそうに笑った。
「朝ね、ママとホットケーキやいたの!」
「それはすごいな!」
たかいたかいをしてブンブン振り回してやる。キャッキャと楽しそうな声をあげてアナベルは無邪気に笑う。下ろしてやっても腕を広げてキスをせがむものだから、あまり顔が見れなくて寂しい。
「それでね、ジャズに持ってきてあげようと思ったのに、パパがぜんぶ食べちゃったの!」
「あんまり美味しかったから食べちゃったんだろうさ。アナベルの気持ちは受け取った。ありがとな」
アナベルを抱え込んで、見守っていたパパにウインクをした。レノックスなりに気をつかってくれたんだろう。
俺たちはヒューマンモードであっても人間の食べ物は食べることができないから。
あー。でも。ホットケーキ。
アナベルのホットケーキなら後悔しても食べたい。
いつまでも離れようとしない姫の柔らかな良いにおいのする髪にキスをしてやった。
甘いにおいがした気がした。
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