「……」


『あ、ザッキーだ』



困った

一体全体どうしてこうなったんだ…





ことの始まりは1時間前…、万事屋の旦那に呼び出された所から始まる…


 


以前張り込んでいた所を見つかってから、俺があの子に片思い中だと勝手に思っている旦那は

しっかりしろだの俺はジミーを応援するだの心が全くこもってない応援をしながら餡蜜を頬張っていた



…一応言っとくけど、オレ別に好きじゃ無いからね!

いや…普通に好きだけど、恋愛としては見れないからね!




そんな事をぼんやりと聞いていると、封筒を渡された



「?これは…?」


「最近沖田君に押され気味何だろ?これやるよ」



ドヤ顔で言われ、中身を確認すると大江戸遊園地のチケットが2枚入っていた




「今日、そこに呼び出してるからよ…ジミーお前行って来い」



「……は?」



感謝しろよと言う旦那の言葉に一瞬思考が停止する


さっきも言ったが、コレは旦那の完全な勘違いで、余計なお世話な他無い



「貸しは気にすんなよ、コッチも奢って貰ってる訳だしよ」



そう言って、今度はチョコレートパフェを注文した




「あ、待ち合わせ時間は11時な」



その言葉に時計を見る


10時45分



「……」




旦那の言う場所まで、此処から頑張っても40分は掛かる



「……」




…ヤバい!


間に合わないと思いながらも急いで店を出る



別に俺が行かないといけない理由は無いけど、旦那は行く様子は無いし 
向こうは、こんな事になってるなんて知らないだろうし



性格からして、文句を言いながら旦那をずっと待っているだろう



後ろで旦那の金は置いて行けと言う言葉に一瞬殴りたくなったが、それを無視して走った




 







…と言う理由で力の限り急いで来た結果30分で着くことが出来た





『あ、ザッキーだ』




彼女はやっぱり1人で待っていた
俺を見付けてコッチに走って来る



その姿に少しホッとした
…別に怒っては無さそうだな



取り敢えずちゃんと説明だしないと……



「……」


『どうしたんですか?』


「……」



困った…
急いで来たは良いが、なんて伝えれば良いんだろう…?



『?』




旦那の作戦をそのまま伝え…ダメだ

もしかしたらその後気まずい空気になるかも知れない…


ならなくても多分暫くはそのネタでイジられる



だったら…



『銀ちゃん見ませんでした?』


「え?」


『なんか銀ちゃんに呼ばれたんだけど、来ないんですよね…コレもう帰っても大丈夫ですかね?』



どうやら俺が来る事わ知らなかったらしい


…それなら話は簡単だ



「あ、うん…なんか旦那仕事で来れなくなったらしいから、俺が伝えに来たんだ」



『マジでか、天パめ…普段仕事無いクセに…遊園地行きたかったなー』



「……」



本当に楽しみにしてたのか、何となく残念そうな顔をしている



『…じゃあしょうが無いし、帰りますか』



クルリと遊園地の入り口とは反対を向いて歩き出す



「…実は変わりにチケット貰って来たんだよね」


『!!』



旦那から渡されたチケットをチラリと見せた


それを見た瞬間パァっと明るくなったのが分かって、直ぐにコッチに戻ってきた




「俺とでも良かったら今から一緒に行く?」



入り口の方を指差しながら聞くと、大きな声で返事が返ってきた



『もちろん!!』














「『………』」



さァ入ろう!と意気込んで入り口まで行った所で、俺達の動きがピタリと止まった




【休館日】




「『……』」



だ、旦那ァァア!!
どうしてくれるんだァァア!!


今までで1番気まずいじゃ無ェかァァア!!

俺ちょっと格好付けて言って…顔見れ無ェェエ



『……』



つーか作戦立てるならちゃんと調べとけよ!!




「え、っと……ごめん」


『え?何がですか?』



色々と申し訳無くなって思わず謝ると、キョトンとした顔で言われた



「いや、楽しみにしてたみたいだったから…」



『まァそれなりに楽しみでしたけど…別にザッキーが誤る事じゃ無いし、別に一生行けない訳じゃ無いし』



「…まァそうなんだけど…」


『それに嬉しかったですよ?』


「?」



『私の為に急いで来てくれたみたいだし、ザッキーが謝る事無いですよ』



ニシシと笑って言った



「…ありがとう」


『こちらこそ』



この子は普段はアレな時が多いけど、やっぱり良い子だな





『…じゃあしょうが無いし、帰りますか』



今度は笑顔で言ったから、俺も笑顔で返した






『あ、やっぱスーパー行って良いですか?』



「別に良いよ」



通り掛かったスーパーを見付けてそこを指差す
店の旗には幾つかのお買い得商品が書いてある



『じゃあザッキーも居るし、ちょっと多目に買おっと…』



テキパキとカゴに入れて行く姿は主婦顔負けで、休みの日まで働くなんてすっかり板についてるな





「何してんでさァ、お前ら」


『あ、沖田さん』



スーパーを出て直ぐの所で沖田さんと遭遇した
隊服の所を見ると、見回り中なのだろう

俺達2人がスーパーから出て来たのを不思議そうに見ている





『色々あって、遊園地に行けなくなったから帰るついでな買い出しですよ』



「遊園地?…ザキと?」



『そーですよ』



「へー…」


「………。」



そのまま3人で屯所に帰り始める




『次はちゃんと計画立てて行来ましょうね!』


「あ、…うん、そうだね」



彼女の後ろで真っ黒いオーラをひっそりと漂わせている沖田さんに軽くビビりながら答えた



は、早く屯所に辿り着いてくれェェエ!!






(その後、暫く沖田さんからの嫌がらせが絶えず)


(俺宛てに旦那からの領収書が届いた)



山崎退の災難 その2


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4万打ありがとう御座いました(^^)


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