アイツが泣き始めてから少し経った
雨が止んだのか外に耳を澄ますと、もう雨の音はしなかった
あれから少しずつ自分の事を話し出した
両親にされて来た事や自分がこれまで思って来た事
俺には物心付いた時から両親はいなかったが、姉上や近藤さん……土方さんが居たから、【独り】じゃなかった
でもコイツは…親が居ても【独り】だったんだ
『…グスッ』
まだ泣き止まない姿を見て思う
…確かに、不思議には思ってたんだ
突然知らねェ世界に来て、知らねェ場所と知らねェ奴しか居ない世界で、絶対誰でも不安になる筈なのに、何でコイツは何も言わねェんだ
弱音も吐かねェし、泣きもしねェ
嘘を付いてねェなら、ただの馬鹿だと思ってた
…イヤ、馬鹿なのは変わりねェけど
「…けど、違ったんだねィ」
『……?』
泣いた面でこちらを見る
ただの馬鹿だと思ってたコイツは、馬鹿以上に強がって気を張ってただけだったんだ
1つ空けて座って居た椅子を詰めて座り直し、向き合って目を見る
「良く聞きなせェ」
『…グズッ……?』
「確かにお前は1人でここに来た、お前を昔から知ってる奴は1人もいねェし、お前が昔から知ってる奴もいねェ」
『………』
「でもさっきも言ったがお前は、【1人】であっても【独り】じゃねェ、…少なくとも、そう感じる時は俺達が居てやらァ」
そう言ってプイッと顔を逸らしてしまった沖田さん
何だか今日は、沖田さんに欲しい言葉をいっぱい貰った
独りじゃ無いよ、って言われたのは別に初めてじゃ無い
でも、こんなに嬉しくて、安心出来る言葉は初めて貰った気がする
真っ直ぐ目を見て
一緒に居てくれるって言ってくれた
私の居場所はココだって、言ってくれた
それだけの事なのに、沖田さんが言ったら不思議と心が暖かくなって、嬉しくて、安心できて、泣きそうになるのは何故だろう?
気が付くと、また涙が出ていた
けどソレは悲しい気持ちでは無くて、涙と一緒に自然に笑顔になれた
『…ありがとう』
今度は笑って、
本日2度目の言葉を口にする
『私、沖田さんが、真選組の皆が大好きです。だからーー』
ハァ、とゆっくり息を吐いて沖田さんを見る
『…ずっとここに居ても良いですか??』
私の言葉に少し驚いた様な顔をしたあと、
「…気が済むまで居れば良いだろィ」
月明かりで見えた沖田さんは
珍しく笑っていた
(その笑顔が、私をまた笑顔にさせた)
****
一万打突破ァァア!!
本当にありがとう御座います。゚(゚´Д`゚)゚。(感激)
こんな駄目駄目なサイトを
これからもよろしくお願いします!!
prev next
back