「…え、じゃああの饅頭咲夜ちゃんのだったのか?てっきり誰かが出してくれたんだと思った…」



『私のですよッ!!…なのに近藤さんまで勝手に食べちゃうなんて酷いですッ!!』



「そうか…それは悪い事したなァ、お詫びに今度何かお土産買ってくるな!」





事情を説明すると、申し訳無さそうに近藤さんは謝り、何か買ってくれる約束もしてくれた



『本当ですかッ!?なら許します!』




流石近藤さんッ!!
太っ腹だ!





『分かりますか?これが反省する人の態度ですよ土方氏』


「何でこのタイミングで俺なんだよ…つか、物に釣られただけだろ」



『違いますゥ!近藤さんはちゃんと謝ってくれたから許したんですゥ!』




マコちゃんの肉球で土方さんに連続パンチする

楽しいのかマコちゃんも一緒になってバタバタと尻尾を振っている












『さてと、近藤さんも1つしか食べてないって事は、犯人はまだ居ると言う事ですね』



少し休憩してから再び犯人探しをスタートです










ガブリッ………。




『まさかザッキーが犯人だったとは……』



再スタートして僅か3分、

偶々廊下を歩いていたザッキーを見るや否や、吠えもせずに無言でザッキーの頭ににガブリ付いたマコちゃん



いきなりの事に驚きながら、頭から血を垂れ流すザッキー




「…なんで、俺こんないきなり噛まれてんの?」



普段から土方さんにボコられてるだけあって、ワーキャー悲鳴を上げないザッキー



『流石ですね!討たれ強いッ!!』



その分ボコられてるって思ったら可哀想だけど、それは言わないでおこう




「あ、今なんか失礼な事思ったでしょ?」



『そ、そんな事無いですよ〜…所でザッキー、今日饅頭食べました?』



「饅頭?…居間にあったのなら1つ貰ったけど」



ガブリッ



その一言を聞いた瞬間、タイミング良くマコちゃんがもう1度噛み付く



「ギャァァァア゛ッ!?」



そして、それと同時にザッキーの断末魔が屯所中に響いた






「…イタタタ、あの饅頭って咲夜ちゃんのだったんだ」



マコちゃんを離して事情を説明すると、納得したように言った



「俺はてっきり誰かの余り物かと……ごめんね」




そして、近藤さん同様今度何か買ってくれると言う事で話が付いた




『流石ザッキー、話が早いですね』



「オイ、いつの間にか主旨が詫びを貰う事に変わってんぞ」




『ハッ…!?』




土方さんの言葉に、本来の目的を思い出した 




『…そうでした!!次の犯人こそ、必ずや罰を与えて見せますッ…!!』



「もう散々してんだろ」




マヨ禁止1週間はキツいだの後ろで言うのを無視してたら

直ぐ近くで尋常じゃ無いマコちゃんの鳴き声が聞こえた







「ワンワンッワンワンワンワンッ!!ワンワンッ!!」




『どうしたの…って沖田さん、?』



急いで向かうと、そこに居たのは沖田さんで、迷惑そうな顔をしながら縁側に寝転がっていた



私が来ても尚、吠え続けるマコちゃん




『…え、沖田さんが最後の犯人だったんですか?』


「犯人?」



意味の分からなそうな顔をしながら聞き返す沖田さん



『…今日饅頭食べました?』



「さっき食った」




それがどうしたと言う顔で私を見る沖田さん





『………。』



「?」




…チクショウッ!!
最後の犯人が沖田さんだったとは……


怒りたいけど、後が恐ろしくて反撃出来ない……!!


どーしよ…!!


未だに吠え続けるマコちゃんを背に、どうするか考える




『……美味しかったですか?』



取り合えず感想だけでも聞いてみる
その答えによっては、許して上げない事も無い…かも知れない




「まァ…普通?」




ふ、普通って…!!

私がずっと楽しみにしてたスペシャルな饅頭を…普通って!?




「アレだったら、他の店の方が美味いかも知れ無いねィ」



そんな…そんな事言うなんて…



「そうか?普通に美味かったくね?」


「土方さんも食べたんですかィ?」





そんな2人の会話も入って来ずに、ヘナヘナと座り込んだ






『私の、お饅頭……』



「?」




期待して、楽しみにしていたお饅頭だったのに……




『お、沖田さんのアホォォオ!!』



私の楽しみを奪った所か、あのスペシャル饅頭より他の店の方が良いなんて…



いきなり騒ぎ出した私を見て、驚く沖田さん



そこに騒ぎが気になったお菊さんもやって来た





「そんなに騒いでどうしたんだい?」



『お菊さァァァア゛ン゛、沖田さんが私のお饅頭を取ったんですゥゥウ゛ッ!』




「は?饅頭?」



惚けたように言う沖田さんに、土方さんが説明をする



「お前が食った饅頭が、咲夜が買ってきてたヤツなんだと」



「…は?俺が食ったのは、最近新しく出来た甘味屋の饅頭ですぜ?」




『「……は?」』




今日は朝からずっと外に出ていたと言う沖田さん
そう言えば今日は、沖田さんを見なかった気がする……



え…でも、




『だって沖田さんを見てマコちゃんが……』



「あのワン公は俺を見ると、いつもあァだろ」





……そう言えば、何もして無くても沖田さんを見るだけでいつも吠えてた様な…




「そう言や、総悟は別に噛まれて無ェな」




そう言われると、他の3人とは違って沖田さんは何処も噛まれてない……







「あら、もしかして居間にあったの咲夜のだった?」



『え?』



「美味しそうだったから、私が1つ食べちゃったのよ」



ごめんなさいねと言うお菊さんの言葉も耳に入らずに、私の身体中から嫌な汗がダラダラと流れる




「…咲夜?」



恐る恐る沖田さんの方に振り返ると、そこにはにっこり笑顔の沖田さんがいました







(良くも俺を疑ったもんだ無ェ)



(スス、スイマセンでしたァァァア)







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