死んだ小鳥を黙って埋めていると兵助がやって来た。鉢屋、死んだのか。と不躾に問われたので違うと言ってやった。私は死んでいない。まだ生まれて間もない、色のはっきりしない小鳥をなるべく深く埋める。土の奥底、虫たちの冬眠よりも深いところへ。 「鉢屋」 「どうしたんだ兵助。そんなに埋葬が珍しいか」 「お前が殺したのか」 「さぁ。そうかもしれないな」 「さぁ、って」 「兵助はたまごやきを食べるとき、ひよこを殺したと認識するか」 私はそこまで優しくないんだ、と肩を竦めて笑ってみせると、兵助は黙って私の目の前にしゃがんだ。 長い睫毛が俯く。優しさはいつだって報われない。見返りがほしいなら賢く卑怯になればいい。私は別にそれを咎めようとは思わない。 「それが優しさだったら俺はただの偽善者なんだろうなぁ」 そうぽつりと笑って死に土を被せていく掌は生きている。兵助は死者に優しい。私が死んでも、それはきっと。 * 久々知に鉢屋って呼ばせたい |