机に放り出されていた三郎の指は細くて白くて華奢だった。きっと寝てはいないだろうと見越して両手で触れてみると、見かけとは裏腹に、それは固くてしっかりしていた。 「…どうしたんだ」 「いや、君の手が意外にきれいだったから」 「失礼だな。これは女の手さ」 机に頭を預けたまま、う、と三郎が一声上げると、両手の中で三郎の手はバキバキバキと骨を軋ませて、節を浮き上がらせて一回り大きくなった。 「はい、これがいつもの雷蔵の手」 「あーびっくりした。怖いなぁ今の」 「関節が外れやすいんだよ私は」 ふふふ、と頭を起こして三郎はふと掌を合わせる。長さから太さから何から何までぴったりとそれは重なった。 「ほらご覧、手相まで同じだろう」 「わ、なんで」 「さぁ。それは私にもわからない」 |