屍の上を歩く。いつかいつでも崩れそうな道は後ろにしか伸びていかない。不安定な道のりをそれでも前にばかり進ませるのは、黒ずんだ六本の所為だった。慟哭が溢れだして、もうずいぶんになった気がする。重くて、止まることができない。積まれた骸の上を、刀をひきずる。当然、誰かが隣を歩いてくれるはずもなくて、次に生まれ変わったら永遠に羽ばたいていられる鳥になりたいと祈るように願った。足なんて、退化してしまえばいい。静寂に耐える志が錆び付く前に。
時折振り返ると小十郎がなんでしょうかと言いたげに目を細めるので、その度に天下はまだか、と聞くことにしていた。その度に小十郎はつまらなさそうに溜め息をつく。

「急いではよくありませんが、早いことに越したことはありませんな」
「テメーは占い師か」
「政宗様がお決めになることを憶測で申してもつまらぬだけです」
「訂正する、テメーは坊主か」

後ろを向いていては進めないので前を向きながら笑う。後ろを向いていては倒れてしまうので前を向きながら困る。泰平を両眼に焼き付けるため、一つでも多くの笑みを残すため、俺は深く堕ちるように楽園へ向かって進むしかできなかった。すべては、はるか遠くの夢幻に近い過去にあって、振り返っても振り返ってももう二度と届かない。
宗教じみた忠義のために、俺は鈍くて重い刃を捨てることもできずに、また一段、積まれた心臓の上を行く。





後ろにしか続かない道を









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