傷口にクナイを突き立てられて変な汗が浮かぶ。半分は動揺、もう半分は激痛。声こそ上げなかったが肉を抉られる瞬間の反射に、弾はとらなきゃいけないから、と背後の勘右衛門は軽い調子でのたまう。痛い痛いと逃げるのは癪なので意地でも折れない。少しの油断で肩を撃たれたのは認めるが、これ以上、劣等感を増幅させられる隙を与えたくはなかった。特にこの同学年の同委員には。
唇を噛んで、頭で寄り掛かっている樹の幹に半ば縋りつく。呼吸で擦れる喉が痙攣する。こちらの痛みを理解した上であえて茶化しているつもりなのか、勘右衛門はクナイを1度抜き、また同じところに穿った。目の前が一瞬白む。さすがに、もう、冗談ではない。


「っテメ、……っ!!」

「痛い?鉢屋。そりゃよかった」

「、ざけてんじゃ…っぐ、」

「痛覚あるのかなって、ちょっと心配したんだよー?」

「やめ、…っ、クソやろ…がっ」

「これは痛い?泣いていいんだけどなぁ」

「は、あっ……!!」


だれがこんな下衆に泣かされるか。
反応を返せば付け上がるだけだというのは十分理解しているので、殺気を押し殺して勘右衛門の死体を思い浮べる。





首より上はいらない









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