竹の服はぶかぶかで、竹のくせに、と口を尖らせて言うとどうも聞こえなかったみたいで、ガリガリくんとスイカバーどっちがいい?と聞かれた。


「ハーゲン」

「はいはい、スーパーカップでいいですね?」

「ミント乗せて」

「ネギならあるけど」

「せめてマスカルポーネソースかなんか」

「悪ィ、この家日本語以外通じねぇから」


客らしからぬ傲慢な態度の私の目の前に、とん、とバニラのラクトアイスが皿に乗せられて銀色のスプーンとともに出てくる。らしからぬ心配りに若干動揺する。竹、頭とか打った?と怪訝に顔を上げると、うっせ、と額の真ん中に遠慮なくでこピンされた。前言撤回。
竹がスイカバーを咥えながら隣に座る。ソファがぎしりと深く沈む。その音が少し大きくて、この無機質な部屋には2人しかいないことをまざまざと見せ付けられた。


「竹は私に優しくしてどうすんの。兵助はやらねぇぞ」

「ばーか、どうもしねぇよ。でも兵助泣かせたら殴る」

「ごめんなさい痛くしないで」

「安心しろ左で殴るから」


そう言って竹は私の頭をタオル越しに撫でる。本当にずるい男だ竹は。私なんかの10倍も100倍もずるい。兵助ってばかだよなぁ本当ばかだよな。私が女だったら迷うことなく竹に恋してたのに。


「なんかさ、竹が私のこと好きで、私も竹のこと好きだったら幸せだったんじゃねぇのってたまに思うわ」

「あ、そう?俺は思わないけど」

「竹谷くんきらい!だいっきらい!」

「ははは俺は三郎好きだけどな」

「くっそーなんで兵助は竹じゃないの?アイツばかなの?」

「そのばかなところがかわいいんだろ」


ぶっほ。
思わずむせて隣を見る。お前はまぁよくもそんなしゃあしゃあと、と囃そうとしてふと見れば、竹の顔が真っ赤なことに気付いてしまった。アイスを咥えてるのが、なんとなくエロいと思う図。


「お前がかわいいんだよばーか」


そうだ、もう3人で、結婚しよっか。









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