くだらぬ、と吐き捨てられるのはいつものことなのです。私はめげません。知らないことを拒絶するのは、ただ怖いから。恥ずかしいから。そういう類の防衛本能なのでしょう。
あなたが茨の奥で1人寂しく、射し込む日光に祈り続けるうちは、私はいくら突き飛ばされても罠に嵌められても後ろから射たれてもすっ転んでも…っとと、これは自主的ですね、まぁ、とにかく、私はめげませ!

「っん!」
「放っておればいずれ黙ると思った我が甘かったな」

突然!喉を掴まれました。大変です、息ができないととっても大変なのです!びっくりしてばたばたして逃げようとしましたが、どうにもこうにも殿方の力には逆らえません。けれどそれ以上のことはありません。私の首に触れる手は冷たいだけで、私を殺そうとはしていませんでした。
ふと、見上げた先にあった顔はまるで作られたように澄んでいます。ああどうしましょう。いけません、いけません、人と人が近付くのに理論や計算などはいらないのです。

「首を折ろうか。それとも呼吸を止めようか」
「あなたは」
「……」
「どうして私が怖いのですか?」

私の腕の長さではまだ、到底あなたの胸には届かないので、そのきれいなお顔を指を差してみます。ほら当たりでしょう?呆気に取られたような、雷に打たれたような、そんな適当な顔になった彼はほんの少し、手に力を込めました。
そう、そう。私の血の流れがわかりますか?私はあなたの骨がわかりますよ。
人と人が傷付かないで近付くことなんてできないのです。だからあなたも少し傷付いてしまうかもしれません。
それでも私はあなたの茨を掻き分けて、きっと泣きたいぐらいにきれいな海を見せてさしあげます!









- ナノ -