「命をかけようと思うんだ」

とん、と兵助の額に三郎が人差し指を置いた。自分以外の人間の体温が温かいのは、自分が冷たいからか、それとも、その人が生きているからなのか。
三郎は近い距離で笑った。その柔らかな笑みの奥に何を隠しているのか、兵助には想像もできなかったが、その微笑みが雷蔵の溶けるように甘いそれよりも、塩辛くて投げやりな雰囲気を漂わせていたので鉢屋三郎が笑っているんだなと感じた。

「うん、それでいいと思う」

兵助は笑って受け止めた。そうやって三郎が選んだ道を見守ってやれて、兵助は本当に嬉しかった。









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