「白夜叉やアンタに会ってから、晋助様がおかしくなったっス」 「それは晋助の責任だろう。俺が何かしたわけではない」 「黙れ名前で呼ぶな」 ガチャ、と眉間に銃を突き付けても、僧侶紛いの桂は変わらず茶を啜る。こんな状況でよくもまぁ、と吐き捨てれば、まぁここは茶屋だからな、としゃあしゃあ言ってのけ涼しい顔で茶団子を頬張る。馬鹿に塗ける薬はない。なるほど。 「お嬢さん、高杉は昔からああだぞ。本当に祭が好きでな。俺の手にも負えん」 「ハッ!手に負えない?保護者気取りも大概にするっス!」 「ふむ、そうか俺は高杉の保護者かもしれんな。昔は風呂に入れてやったり、寝つけぬ時は子守唄を歌ってやったり、焼き魚の骨は」 「聞きたくねぇっスそんな自慢話!」 「また子殿。高杉は、」 ふ、と笠の向こうで桂は微笑む。 「ちゃんと野菜も食っているだろうか」 「………昨日、ちゃんとピーマン食べてらっしゃいました」 「そうか、すまんな。食い物も人も好き嫌いが激しくて」 |