「真っ白じゃねーか」
「はい?」
「テメェの予定表」
「…?はぁ。別に予定ねェんで」

炬燵から腕を出してアイマスクを上げた総悟は怪訝そうな、くだらなそうな、失望したようなウザったそうな殺意を抱いたような、そんなマイナスフェイスで俺を見上げた。総悟が机に広げっ放しだった今年のスケジュール帳をふとパラパラめくってみると、仕事のことは愚か、誰かの誕生日さえも書いていなかった。全員無駄に支給されているとはいえ、この前垣間見た山崎の手帳とはえらい違いだ。真っ白なまま意味を無くしていくきれいなスケジュール帳は、少し可哀想な気がした。

「…一日くらいなんか書いてやれよ」
「別にいいだろィ。仕事の事書いたってどうせ予定どうりに行くこっちゃねェし、誰かの誕生日書いたって、」

総悟にしては珍しく、不機嫌を露骨に顔に出しながら起きあがる。目を擦ってたから眠いのかと思えば、

「どうせ、命日ばっか書くようになっちまうんでィ」

ちょっと泣いていた。







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