兄上に連れられて歩く城下町は繁雑で騒々しく、怠惰と溜息で混沌としておりました。ただ時代の引きずる被写体として、文明の機器は私達を1と0の世界に量産します。明日の話題のため、この行歩を取り囲む人々は、液晶の2次元が3次元になるだけで、素晴らしい、と興奮なさっておいでです。
母上の体内で生まれたいと切望した世界は、果たしてこのような色をしていたのでしょうか。
むなしい、と。あわれ、と。まさか、思わずにはいられませんでした。

「そよ。これが私たちの血が築いてきたものだ」

肩を支えてくれた兄上に頷く振りをして私はただ臆病に俯きました。







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