「ねえ、うっきーはいつ剣ちゃんと闘ってくれるの?」

やってくれるの?と畳に寝転んで頬杖をつく彼女は実に可憐だ。一途だ。素直だ。更木は強い。この子がいるのだから。文机で終わらない執務に明け暮れていると、いつの間にか彼女に問われていた。

「闘っても、俺はきっと負けるよ」
「うそ!うそうそ、だって剣ちゃん、うっきーは強いって言ってたもん!斬りたいって言ってたもん!」
「本当さ。俺は負ける」
「うーそー!だめだようっきー!」

悲痛な声を上げて、草鹿はぴょんと跳ね起きて必死に腕にしがみついてきた。
幼い手は高揚で温かい。強くなきゃだめ!と訴えるのは、そして彼の敗北など見えてはいないんだろう。少し振り向く。眉間に皺を寄せて、むう、と彼女はとても悲しそうに愛を持て余す。

「じゃあ、君は更木に負けて欲しいのか?」
「えー?うっきー何言ってるの、剣ちゃんは無敵だもん!負けるわけないよ!」
「ああ、はは、そうだったなぁ」
「ふふふ、うっきー変なの!」

そうだよ、と草鹿は桜色に染まった頬を愛らしく綻ばせた。すまんすまん、と柔らかい髪を撫でてやる。やはり、どう頑張っても、勝てそうな気がしないわけだ。







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