凍結小説 | ナノ

56


入ってきた美咲と里奈の目は微かに赤かった。


海は瞬時に理解した。

…勿論、口には出さなかったが。


海「…本当に、いいのか?神気を放つなら、その髪を切らなきゃいけないんだ…」


そう、神気とは神を名乗ることの許されたもののもつオーラ、生命エネルギーなのだ。


生気といってもいい。

元来、神が髪を切ることは言語両断だ。


神がもつオーラを、髪を切ることで放出させてしまうからだ。


その力は世界を、脅かすものになる。


里奈や美咲は、トリップ前、つまり神としての力が目覚める前に髪を切っていたから問題はない。


それに、ちゃんとした方法で切れば全く問題はないが、神々は易々と力を放出するなど、力が無駄になることはしない。





美咲の場合は強い意思と、覚悟…。



それが正しい力の使い方となる。



美「…あの日、雪華を助けられなかったあの日から、何となくこうなることは分かっていた…
それに、雪華は俺の闇を、唯一理解した人だから…」



美咲の瞳は、深翠<フカミドリ>から翡翠<ヒスイ>へと輝きを変えていた。


里「…ウチは、雪華を出すために、力を貯めて、亀裂から渡す。」



海「…俺も、手伝う。」




例え、この方法が成功しても、雪華があの門を通れる確率は、低い…。




その確率の中で、雪華はいま頑張っているのだ。




海「願わくば、我等の主に幸大からんことを……」




時には優しく荒々しく、揺るぎない強い海




虹の化身はただ、願う。




そして、己の身を犠牲にしてでも…。

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