『……は?』
突然のアシュレイ侯爵の提案に、グレイの思考は一瞬 停止した。
(このジジィは、一体何をいっているんだ……?)
グレイは自分を困惑させている初老の男を一瞥した。
(つまりこのジジィは、若くて美しい使用人を己の欲望の為に、このボクに貸せと言っている)
不意にあの女の鉄仮面が脳裏をよぎった。
このことを知ったら彼女はどう思うだろうか?
抵抗し、泣き叫び、あの女も遂にその表情を崩すだろうか?
チャールズ・グレイは口元を優雅に釣り上げ、黒い笑みを浮かべた。
……何を考えてるのか分からない、人を惑わす不思議な女。
「いいですよ」
彼女の化けの皮を必ず剥がしてやる。
「哀する人」
続く??
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