夢を見た。
まばゆい光の中に、一人の天使がいて、
悲しそうな瞳で私を見つめていた。
天使が助けを乞うような瞳で?ついてきて?と促すので、戸惑うまま天使に導かれ、進んだ先には……
暗闇の中でチャールズが佇んでいた。
後ろ姿だったため彼の表情は分からないが、
よく見ると彼の手にするレイピアには大量の血が滴っていた。
「チャールズ……っ!」
彼に手を伸ばそうとするが手を伸ばせば伸ばすほど、彼が遠退いていく。
もどかしい。
気付くと傍にいたはずの天使は消えていた。
「チャー……っ」
──────……
『名前、起きて』
ハッ!と目を覚ますと、目の前には端正なチャールズの顔があった。
『君、最近ちょっと寝すぎなんじゃない?』
いきなり現実に戻され、朦朧とした頭の中で一つの疑問が浮かびあがった。
(……今の夢は何だったの?)
『ほら、もう着いたよ』
そんな妻の心境も知らずに、彼はさっさと馬車を降りる。
今日はオックスフォード伯という人にチャールズと共に夜会に招待されていた。
もちらんオックスフォード伯なんて名前は一切 面識がないが彼曰く、そういうことは?よくあること?らしい。
ここのところ夜会ばかりでうんざりしていたが、
サラと公爵も今晩の夜会に参加するということを聞き、結局 名前も参加することになった。
← →
ページ数[1/3]
総数[42/80]