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「グレイ。貴方はスチュアート公爵を知っているかしら?」
陛下は傍にジョンを伴えていつもと変わらぬ笑顔でボクに尋ねる。
スチュアート?
どっかで聞いたことあるような……
『確か、陛下の遠縁にあたる方ですよね』
「ジェームズ・スチュアートは私の姪の息子なの。彼が怪しい連中とクーデターを企ててるって噂を耳にしてね。
O.H.M.S.Sに調べさせたところその通りだったの」
話が進む毎に、陛下の顔つきが徐々に険しくなる。
「計画が実行されれば王家の恥です。近日中に極秘で彼を処分しなさい」
そう言った陛下の顔は臣民に愛される優しい君主の顔から……女王の番犬なる秘密機関を立ち上げ、世界を統べる大英帝国の女王の顔になった。
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ジェームズ・スチュアートは名前の友達のサラ・スチュアートの夫だった。
ボクはソイツを暗殺しなければならない。
それを知ったら……
名前はボクをどんな目で見るだろうか。
「う……ん」
白いベッドの中で昨日 可愛がりすぎた所為か、彼女はまだ眠っていた。
今まで、暗殺命令を受けてきてこんなに躊躇ったことはない。
陛下と名前の板挟みで、心が揺れていた。
「こんな気持ちになるの……名前の所為だよ」
ボクはまだ幸せな夢の中にいる名前の額に、唇を落とし仕事に行く準備をする。
「行ってきます」
「Yes,your Majesty」
続く?
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Wチャールズと結婚したらあると思う「私と陛下とどっちが大事なの?」
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