“今夜、ボクのモノにするから”
馬車の中でそう宣言されて
家に帰ると無言でチャールズの部屋に連行され、部屋に入った瞬間 強引に唇を奪われた。
チュッ‥チュパ‥
「ぁっ、ふぁっ」
彼のキスはとても官能的で息つく暇もない。
彼の腕が私の腰から背中にかけてを艶かしい手つきで撫でまわす。
ドレスの隙間から 彼の細長い手が潜り込んだ刹那……
「だ……ダメっ!」
ハッと我に返って、彼の胸を押し退けた。
『……なんで?』
そうすると、たちまちチャールズの声色は不機嫌になる。
「また……からかってるんでしょう?」
そうだ。
彼が私にキスをするなんておかしい。
最初の夜みたいにきっとまたからかわれてるんだ。
『本気でそー思う?』
私の心境とは裏腹に、彼は至って真面目な顔で
『名前はボクにされるの……イヤ?』
最初の夜とは明らかに違った。
(だって私も心のどこかでこの人を求めてる……)
"夜も拒絶されたとなれば、伯爵の方が可哀相だわ"
舞踏会でサラに言われた言葉が頭の中で谺した。
ドクンドクンドクン…、
「……ぃ」
『は?』
「いや……じゃない」
頬を真っ赤に染め上げて、そう言った瞬間。
チャールズは満足気にニヤリと笑った。
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