「どうって……何が?」
質問の意味が分からず聞き返すと、サラは口元に扇子をあてて痺れを切らしたように言った。
「決まってるじゃない!!夜のほうよ、夜の!やっぱり、伯爵ともなればスゴいんでしょう?」
「な……っ?!」
幼なじみの下卑た質問に思わず顔を赤らめる。
それを見たサラはすかさず問いただした。
「あんた……もしかして、まだ伯爵に身体を許してないの!?」
「うっ……」
図星を突かれ、名前が力なく頷くとサラはため息を零す。
「呆れた……。あなた結婚して何日経ってると思ってるのよ」
「だって……家柄のために結婚させられて、初対面の人と夜を共にするなんて出来ないわよ」
弱々しく反論すると、サラは先程よりも盛大なため息を吐く。
「それは伯爵だって同じよ。見知らぬ女と結婚させられ、その上、夜も拒絶されたとなれば伯爵の方が可哀相だわ」
サラにそう説教されハッとなる。
私はいつも悲劇のヒロインになりきって、チャールズの気持ちなんて考えたこともなかった……
「ま、結婚の相談ならいつでも聞いてあげるから今度 家にいらっしゃい」
そういうとサラは夫・スチュアート公爵と共に次の夜会へと駆けて行った。
仲睦まじく並んで帰るサラと公爵の背中を見て、なんだかとても羨ましくなった。
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