ドクドクドクドク、







心臓の鳴る音がする。


















グレイ伯爵の部屋は一台の燭台にしか明かりがついておらず、そのせいで部屋は真っ暗だった。









私はグレイ伯爵の大きなベッドに座り、この真っ暗な部屋で湯浴みに行った彼を待っていた。








(ガチャ)











『お風呂が長くなっちゃった。ごめんネ待った?』


「いッ……いえ!大丈夫です」









グレイ伯爵はクスッと笑うと隣に座って、私の顔を覗き込んだ。







『もしかして、緊張してる?』




「……ッ!」







そう言う彼の唇は弧を描いていて、戸惑う私を明らかにからかっていた。








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