「失礼ですが、名前様は処女ですか?」












「………はい?」






目の前の仕立て屋、ニナさんは眼鏡をくいっとあげると真顔で聞きなおした。









「ですから、名前様は経験し……」



「きゃァァァ!!!


ちょっ、それっ……!その質問、ウェディングドレスを作ることとなんの関係があるんですか!?」





私は焦ってニナさんの発言を制止するが、彼女の態度はどこ吹く風だ。












「多いにありますわミス・名前。
花嫁が経験者や再婚者の場合、白いウェディングドレスを着用することができませんの」




「そ、そんな決まりがあるんですか!?」










初めて知る英国のしきたりに驚いて、ニナさんに聞き返すと彼女はチッと舌打ちをした。















「私だって本当はそんなしきたりより、赤やピンクの派手なウェディングドレスを作りたいところなんですが……」







(ガチャ)









『ねー、もう準備できてるぅ?』










ニナさんがブツブツ言ってると、白いタキシード姿に身を包んだグレイ伯爵が部屋に入ってきた。










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