「えっ!?あ、そっ、そうなん…だ。」
思いも寄らぬグレイの応えに反応が数秒遅れてしまった。
なぜだか、自分と彼はずっとこのまま一緒にいるものだと勝手に思っていた。
永遠にこの時間が続くものだと。
でも、彼が日本に留まる義務なんてないのだ。
「…イギリスに帰るってこと?」
『そうだね〜。元々こっちには親の仕事の都合で来てたわけだしね』
自分の意思で来たわけではないグレイが生まれ育った故郷に帰りたいと思うのはごく自然な道理だ。
それに、賢い彼ならば日本にいながらでも、イギリスの難関大学に合格するのは容易いことだろう。
「じゃあ、私もイギリスの大学を受けてみようかな…。」
思わず溢れた言葉に自分でもビックリした。
グレイは一瞬だけ目を丸くして、プッと吹き出した。
『君がイギリスの大学を!?ムリムリ!その英語力で何いってんの?』
「失礼ね!!そんなに笑わなくたっていいでしょお?!!」
(あ、ヤバイ。泣きそう…)
彼がイギリスの大学にいって離れ離れになっちゃうと、もうこんな風に言い合いをすることもないのだ。
そう思うと自然と目頭が熱くなった。
お腹を抱えてゲラゲラと笑うグレイを横目に、名前は必死で涙を堪える。
グレイはそんな名前の手を取り、ふわりと微笑んだ。
『でも、大学はムリだけど…。君がボクについて来てくれるって言うんなら、一生傍に置いてやらなくもないけど?』
彼の言葉に驚いて顔をあげると、そこには夕日に当てられて美しく輝く真剣な瞳があった。
『You're the only important thing to me in my life.I can't think other than you.』
「えっ…」
(それって、どういう…)
状況が飲み込めなくて、名前が口をパクパクさせていると、
グレイは痺れを切らしたように頭をポリポリと掻いた。
『ああもう!……じゃあ、君にも分かるように言ってあげるよ。』
そう言うとグレイは名前の手の甲に唇を落とした。
『Will you marry me?』
「この夏が終わる前に」
(君を手に入れる。)
------------後書き-------------------------
You're the only important thing to me in my life.(君は、ボクの人生で唯一、一番大切な人。)
I can't think other than you.(君以外考えられない。)
Will you marry me?(ボクと結婚して頂けませんか?)
こちらの作品は2016年のアンケートリクエストを参考に作成したものです。
リクエストには学生時代のグレイとあったのですが、原作では彼は男子校なので、現代学パロになっちゃいました…。
気に入って頂けると幸いです。
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