『……は?』







これまでそんな言葉は色んな女達に言われてきた。

そして、そういう女はだいたい汚かった。




夫がある身なのに
家庭がある身なのに
恋人がある身なのに

女たちはそういう言葉を平気で言った。








なのに、君まで言うの?










『……もうすぐケッコンする人が何言ってんの』


「私は本気よ。ずっとずっとグレイが好きだった。でも……それが叶わないのなら……」










君だけは言ってほしくなかった。汚い愛欲にまみれた大人達が使うような台詞。







けど、名前にこんなセリフを言わせたのは結局 彼女を汚すまいと、彼女を遠ざけてきたボク自身……















『ボクに……どうして欲しい?』








今までにない艶っぽい声で、灰色の瞳が名前を捉える。










嗚呼どうか、




はしたない女と思わないでくださいね。














「目茶苦茶にしてほしい」












瞬間、







その言葉を合図にグレイの唇に捉えられ、名前はベッドに押し倒された。










(私は結婚してしまうけど、その前に貴方のモノになりたかった)












汗も香りも痛みも





貴方のすべてを感じながら、







貴方の記憶を余すところなく体に刻む。













さよなら……






世界で最も愛した人









「伯爵と我儘姫‐中‐」
続く??



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