『……は?』
これまでそんな言葉は色んな女達に言われてきた。
そして、そういう女はだいたい汚かった。
夫がある身なのに
家庭がある身なのに
恋人がある身なのに
女たちはそういう言葉を平気で言った。
なのに、君まで言うの?
『……もうすぐケッコンする人が何言ってんの』
「私は本気よ。ずっとずっとグレイが好きだった。でも……それが叶わないのなら……」
君だけは言ってほしくなかった。汚い愛欲にまみれた大人達が使うような台詞。
けど、名前にこんなセリフを言わせたのは結局 彼女を汚すまいと、彼女を遠ざけてきたボク自身……
『ボクに……どうして欲しい?』
今までにない艶っぽい声で、灰色の瞳が名前を捉える。
嗚呼どうか、
はしたない女と思わないでくださいね。
「目茶苦茶にしてほしい」
瞬間、
その言葉を合図にグレイの唇に捉えられ、名前はベッドに押し倒された。
(私は結婚してしまうけど、その前に貴方のモノになりたかった)
汗も香りも痛みも
貴方のすべてを感じながら、
貴方の記憶を余すところなく体に刻む。
さよなら……
世界で最も愛した人
「伯爵と我儘姫‐中‐」
続く??← → ページ数[4/4]
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