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この恋に終止符を打つ為、これが最後の我儘。
『話ってナニ?』
グレイは名前のベッドの上に腰掛けて彼女の様子を眺めていた。
『君の部屋に来てるなんてバレたら、ボク けっこーヤバイんだけど』
「大丈夫よ。誰も寄せ付けないように言っといたから」
ここのとこ目も合わせてくれず、話もしてくれなかったのに名前に突然、内密にと部屋に呼び出された。
名前の部屋は、流石 女王の娘の部屋なだけあってボクん家より豪華で広々としていた。
彼女は自分でボクを呼んだクセに、ずっと窓の外を眺めていてボクが何度 声をかけても適当な相槌を返すだけだった。
『……ケッコンするんだって?』
「!」
痺れを切らして、ずっと胸の中に詰まっていたモヤモヤを吐き出すようにそう言うと、名前はゆっくりこちらを振り向いた。
「グレイ……」
『よかったじゃん、嫁の貰い手があって。君みたいなじゃじゃ馬姫じゃ、一生ムリだと思ってたけど』
心にもないことが、次から次へと口から溢れてくる。
「本当にグレイはそう思ってるの?」
『は?他に何があんの?』
名前に心を見透かされたような気がして、ついキツい口調で返してしまう。
だけど、それ以上何も言えなかった。
彼女が頬を濡らしていたからだ。
『ちょ……っ、なんで泣いてんの!?』
いつも高飛車な名前が、涙をボロボロこぼしてまるでフツウの女の子みたいに泣く姿に内心思わず、ドキッとした。
気付いたら、名前はボクの胸の中にいた。
彼女はボクの胸の中で、言ってはいけないセリフを吐いた。
「……グレイ、私をグレイのモノにして」
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