(な、に…?今の声‥)








恐る恐る少しだけドアを開けて中を覗いてみると、そこには信じられない光景が広がっていた。


















『デカい声出さないでよ。誰かに見つかったらどーすんのさ』



「だっ、て…アッ!」



『なァに、この程度でオシマイなワケ?』






うなだれて息を切らす女をニヒルな笑みで見下ろす男。




男が指を器用に動かすと、女は嬌声をあげた。















「あぁアッ…!」





『ホラ、ちゃんと壁に手をついてよ』






其処には、ほぼ全裸の女の人を壁に押しやり犬のように淫らに交わるグレイの姿が在った。










卑猥な音が部屋に鳴り響いて、初めて目にする男女のその行為に思わず目を逸らしたくなる。














(こんなの、嘘よ…)








ショックで声も出ない。


大好きなグレイが他の女を抱いているところを見てしまった。









好きな男が他の女と交わっているのに、何故だか目が離せない。
















「バッカみたい…」











女王の末娘。今まで、何一つ思い通りにいかないことなんてなかった。












だけど、自惚れていた。

唯一思い通りにいかなかったもの












それは貴方の心だった。



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