いいえ!
(そんなの絶対、認めない!!)
グレイを必ず振り向かせてみせるわ。
今まで思い通りにいかないことなんて何一つなかった。
そして、きっとこれからも…
***
「ねぇ、そこのアナタ。グレイを見なかった?」
アフタヌーンティータイムのあと、いつものようにグレイを探しに通りすがりのメイドに声をかける。
「グレイ伯爵なら先程、執務室の方へ向かっているのを見かけましたが…」
「そう。ありがとう」
メイドに言われたとおり、グレイの執務室の前まで来てドアノブに手をかけようとした刹那ーーー
「ぁ…ン…グレ、イ伯爵」
聞き覚えのない女の艶めかしい声が聞こえてきた。← → ページ数[3/5]
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