※原型パロコピオメです。
仲良く無いっていうか喧嘩ップルです
※原型パロとは=原型・原作基準のパロディです。
極めて原作や原型に近いけど違う何か(




硬い石の寝床から、ゆっくりと半身を上げる。
夢と現の境界を彷徨う思考をなんとか現世に手繰り寄せ、徐々に意識を覚醒させてゆく。
昨日はとても満ち足りていたが、反面とても疲れても居た。
身体を上げると、昨夜の行為の名残が、股の間から漏れ出た。その生暖かい感触に優越すると共に、満たされない思いばかりが空回る。
取り敢えずは起床、それからバイル様のお世話、それから・・・・・・
そう考えながら、寝床から起き出し、投げ捨ててあったベストとパンツを拾い上げて身につける。
その時、ズキッと、電子回路に鈍い痛みを感じた。だが、オメガはその時主人であるバイルの事で頭がいっぱいだったのだ。
重い身体を引き摺りながら部屋を出て廊下に向かうと、反対側から自分と同じ人型のレプリロイド、コピーエックスが歩いてきた。
面倒くさい、と露骨に眉根を寄せたが、生憎今日は、軽口を交わす元気も無い。

「やあ、オメガ。お寝坊だね。怠慢してると、君の大好きな『バイル様』に嫌われちゃうよ?」
「・・・・・・・・・っ」

いつもなら返ってくるはずの冷たい、しかし綺麗な声。しかし、代わりに聞こえたのは、苦しそうな息づかいだ。
コピーエックスは違和感を覚えた。覚えたが、コピーエックスとて暇では無い。だから、つい、見逃してしまったのだ――――

「・・・・・・・・・ふうん」

カツカツといつもより頼りなくヒールの音を響かせて立ち去るオメガを、コピーエックスの紅い瞳が見つめていた。


今日は八審官のフォクスター、フリザードと共に、点検を行いながら、専用の拘束衣である鎧の中に入り込み、模擬戦闘を行う予定が入っていた。
全てはバイル様の為。オメガは盲目的に(というか、そうプログラムされているのだが)主人を慕い、彼の力になることだけを考えて、その小さな身体を
大きな戦闘用拘束衣の中に潜り込ませた・・・・・・。

――――どのくらいたったのか。それともまだ数分か。もはやそれすら分からない。
気がついたら身体は火照り、鈍い痛みはしかし確実にオメガを蝕み苦しめていた。
指示を聞いてそれを実行に移すだけでもしんどい。だが、今自分が倒れてしまっては、バイル様に迷惑が掛かる。
ああ、でも、もう―――

「じゃあ次は・・・・・・オメガ?オメガどうしたの?」
「返事をしろ、オメガぁ!」

外からフォクスターとフリザードが通信回線を使って話しかけてくるが、オメガはもうそれすらも耳に入らなかった。
熱い、熱い、身体が灼けそうだ。
丁度昨日、主人に秘部を触られて身体が疼いた時のように―――いや、それよりももっと具体的で嫌悪感のある熱気だった。
苦しい、苦しい、たすけて、バ、イル・・・・・・様・・・・・・
プシューっと緊急停止ボタンが押され、コックピットが空いて飛び込んできた影は自分と対になる青色、同じ紅い目を持つ男の姿だった。
オメガは、その姿を確認すると、身体を脱力させて、完全に意識を失った。


――――オメガの様子がおかしい、というのは朝から気がついて居た。
いつもなら返ってくるはずの生意気な軽口。自分は彼女から好かれては居ない。寧ろ、嫌悪されているとは、認識していた。
だが、自分は彼女が好きだった。美しく綺麗な金髪、自分と同じ紅い瞳、女性型であるが故なのか自分と違う、柔らかい肢体。
そんな彼女の様子がおかしい。本当なら手を引いて寝床へ引っ張っていきたかったが、生憎自分にも諸用があった。
そんな予定を終え、ハルピュイアでもからかいに行こうかと思ってた矢先、オメガが訓練中に倒れたと聞いて、居ても立っても居られなかったのだ。
緊急停止ボタンは押したが、全ての動力をシャットダウンし、プロテクトを解除して彼女が出てくるまで時間が掛かる。ならば、彼女と同じタイプのレプリロイドである、自分が。

「これ、借りるよ!」
「あ、エックス様何を!?」

フォクスターからマスターキーを強奪したコピーエックスは、軽々と拘束具に飛び乗り、ハッチを開けてオメガを救い出したのだった。
オメガの身体に触れると、既に身体が熱い。オーバーヒートでもして、大切な回路が焼き切れたら、彼女は彼女で無くなってしまう。
コピーエックスは大慌てて彼女から全ての拘束を解くと、補給冷却水を開けて、それを彼女の身体に掛けたり、軽く口に含んでから、彼女に飲ませる。
彼女には悪いが、ベストの前も開き、排気がしやすいように。だが、流石に目の毒だったらしく

「・・・・・・っく」

露わになったオメガの豊かな胸元から慌てて目を逸らし、自分のジャケットを脱ぐと、コピーエックスはそれを彼女の胸元に被せた。

「エックス様!オメガは・・・・・・!?」

彼女を抱いて拘束具から降りると、八審官であるフォクスターや四天王のハルピュイアが駆け寄ってきた。

「酷い熱だ。訓練は中止、バイルにはボクから伝えておくよ。オメガをメンテナンスルームに。レヴィアタンを中心に、彼女を見てやって欲しい」
「分かったわ」
「嬢ちゃん大丈夫かよ・・・・・・」

フォクスターとフリザードが大事にオメガを譲り受けて、急いでメンテナンスルームに向かう。

「エックス様、」

自室に去って行こうとするコピーエックスに、彼の第一の従者、ハルピュイアが声を掛ける。

「いいんだ、・・・・・・ボクは、彼女に嫌われているからね」

そう言って、寂しそうに去る背中に、ハルピュイアは遂に何も言えなかった。


――――ふっと目を開けると、其処は拘束具の中では無く、何度か訪れたメンテナンスルームだった。
ゆっくりと身体を起こすと、其処には八審官であるフォクスターが居た。

「俺は・・・・・・・・・」
「あら、起きたのね」

何故此処に、自分は訓練を受けていた筈だが、とオメガが尋ねると、フォクスターは、今まで起こったことを順当に話してくれた。

「っ・・・・・・アイツ、余計なことを」

ぎり、と犬歯を剥き出して悪態を吐く自分にフォクスターがため息を吐く。

「アナタ、助けられたのよ?こういうときくらいは、素直になっても良いんじゃ無い?」
「・・・・・・俺はアイツが好かん」
「ねえオメガ、嫌よ嫌よもって言葉、知ってるかしら」
「・・・・・・なんだそれは」


翌日、すっかり風邪が治ったオメガは、意識的に蒼い影を探していた。
大っ嫌いだけど、無視できない、自分と似た、アイツ――――

オメガは、紅い瞳に目的の彼を捉えると、相変わらずの仏頂面で、それでも自分から声を掛けた。

「おい、イクス――――」
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