『サースーケー!』
任務が完了して大蛇丸様に報告。
大蛇丸様の自室から出ると、廊下にサスケが立っていた。
それがなんだか嬉しくて、名前を呼びながらサスケにダイブする。
「…お前はもう少し落ち着けないのか」
そう言いながらも軽々と私を抱き留めてくれるから思わずニヤけてしまう。
それを見たサスケは私から目を逸らして、一人廊下をスタスタ歩き始めた。
「……ブサイク」
『なによー、そのブサイクが好きなのはサスケ君でしょ?』
小走りで追いつき、私よりも歩くのが速いサスケの顔を覗き込むようにしながら言い返す。
「………」
『いいよー。サスケが私のこと嫌いになっても、私にはナルトもいるもんねー』
わざとそうむくれて見せるけど、別に私はナルトを恋愛感情で好きな訳じゃないし、それはナルトも同じだろう。
こんな分かりやすい嘘でも、サスケは"ナルト"という名前を聞くと肩がピクリと反応するんだ。
それが楽しいから、ついついナルトの名前を出してしまう。
『(私って結構ひねくれてるのかなー)』
なんて思っていると、急にサスケが立ち止まるものだからサスケの背中に顔をぶつけてしまった。
『どうかした?』
大して痛くもなかった鼻をなんとなく擦っていると、サスケが一言呟いた。
「……ウスラトンカチ」
そう言ってまた歩き出したサスケの背中を見つめる。
いつもナルトに向けて言っていたその言葉は、ナルトと会わなくなってから始めて聞いたもので…。
『ちょっとー!ウスラトンカチって誰のことよー!!』
怒ったように声を上げてサスケに駆け寄る私だけど、表情はきっと声色とは真逆だと思う。
……サスケも、心の底ではやっぱりナルトが好きなんだって分かったから。
舞い上がっていた私は知らない。
「好きな奴がナルトと同じウスラトンカチじゃ困るだろ」
サスケの、もう一つの呟きは…。
心の奥にしまったモノ