「……なーんか、ただの良い姉弟話だな、うん」
つまらなそうに感想を呟くデイダラ。
正直一発殴ってやりたい…。
「良い話だ?んなもん、最後まで話を聞いてから言うんだな」
「最後?……今ので終わりじゃないのかい?」
疑問で頭をいっぱいにしたデイダラに、オレは吐き捨てるように言う。
「……オレは、あのネコの傀儡をぶっ壊して…里を抜けた。追いかけて来る姉貴に、ヒルコの毒を食らわせて…な」
「なっ……それじゃあ、旦那の姉貴は」
「死んだ、だろうな……」
こうやって話していると、後悔ばかりが渦巻いて気が可笑しくなってきやがる。
なんで…唯一の理解者であった姉貴を……オレはこの手にかけちまったんだ…。
「……ぶっ壊したネコの尻尾だけ盗んで、今のヒルコの尾になった」
「え…?」
「オレは…姉貴を殺して、オレを守る為に作ってくれた傀儡をぶっ壊し……その一部をただ人を殺すだけの凶器に変えたっ…」
傀儡になったはずだ!
痛みも何も感じないはずだ!
なのに……っ
なんで…
「……っ…」
胸が痛ェんだよ……。
「……旦那…、泣いてん…のか?」
「…馬鹿かテメェは…っ傀儡に泣く機能なんて…備わってるわけねェだろ
」
そうだ、傀儡には感情も何もないんだ。
きっと本体のメンテナンスを怠ってたんだ。
どっか、調子が悪くなっただけだ…!
「旦那……その目から出てんのは、一体なんだよ…」
オレが泣くなんて、そんなことあるはずがねェ…っ
だけど、頬に何かが伝っていく……
感情を捨て去ることは出来なかった
人形に成りきれなかった人間4