「旦那?どうしたんだ、うん?」
「いや、ちっとばかし昔を思い出してただけだ…」
…人傀儡のオレが今更後悔なんてのをするなんてな。
滑稽もいいところだ。
そんな意味も込めて自分自身を嘲笑うと、珍しいと言わんばかりにデイダラがこっちを見てくる。
「…んだよ」
「旦那がそんなこと言うの珍しいから、うん。…で?何を思い出してたんだ、うん?」
興味津々です、そう伝えてくる目がウザい。
さっきまで弄っていた自称芸術はどうした。
なんでそんなに身を乗り出してんだ。
ふざけんな、誰がテメェに教えるかよ。
……そう言うつもり、だった。
なのにオレの口は意思とは関係なく動き出した。
「オレには……五つ年上の姉貴がいたんだ」
人形に成りきれなかった人間2