『ねえ、イタチにとって幸せって何?』
以前、そう聞いたことがある。
返ってきたのは…微笑み一つ。
イタチは私に何も教えてくれない、打ち明けてくれない。
「幸せ、か……」
そう言って、口を閉じてしまう。
今もそう。ゆっくりと瞼を閉じて天へ顔を向ける。
何かを…待ち望んでいるような……
目を開けたイタチの瞳は、赤く染まっている。
『…私の瞳と正反対ね』
イタチの瞳を見つめながらそう呟くと、赤く輝いた瞳と目が合う。
「お前の瞳は、青空のようだな……」
私の頬に片手を添えて覗き混んでくる。
柔らかく微笑んだイタチは、とても美しい。
『…大丈夫。きっと、幸せになれるから……』
「……ああ、そうだな。サスケには、ナルトがいる…」
『勿論、イタチには私がいる…』
目を優しげに細めたイタチは、私のことをそっと抱き締めた。
「…お前がいれば幸せになれる」
『……当たり前、だってばね』
雲一つない青空が広がる中、私達は抱き合って笑う。
彼が何も言わないのは…彼の幸せが私と全く同じだから……。
(……ナナシ姉ちゃん、イタチ兄!やっと見つけたってばよ)
(兄さん…ナナシ姉さん……木の葉に帰って来てくれっ)
私達の幸せは…
弟が強くなって……
里を抜けた私達を見つけてくれること…。
幸せを夢見た私達