「雪!次これ歌おに!」
「よし、行くで!」
ただいま、カラオケなう。
ちなみにメンバーは、友人の雪、私、謙也、そして財前くん。
なんで、このメンバーになったかというと。
一週間前。
「なまえー!カラオケ行かへん!?」
「えー…」
「…財前もおるよ?」
「えっ」
「(財前いると確実になまえ乗ってくるから)私、誘ったん!」
「行く…!」
「よし、決定やな!…ついでやから、謙也も誘ったろ」
と、なったからだ。
まあ、ぶっちゃけいおう。
謙也は居っても居らんくてもええねん。
あいつは、どうでもええわ。
大切なのは、私が絶賛片思い中の財前くんや。
そして、当日の、今日。
だ・ん・し・ま・っ・た・く・う・た・わ・な・い・!
せっかくのカラオケやのに…
まあ、どうせ謙也は雪がおるからやろうけど。
(ココだけの話、謙也雪のことすきやねん)
財前くん……いやなんかな?
そう思い、いれた曲を歌い終わり、小さくため息をついたとき。
「なあ、歌わへんの?」
雪がむっとした顔で、男子勢を見た。
「な、な…い、い、今から歌おうとしてたんや!!な?な?財前」
「雪…うるさいわ…」
「はあ!?」
「ゆ、雪!落ち着きい!今から財前が歌うっちゅー話や!」
「ちょ、まってくださ…「ほい、財前。自分の番やで!」
財前くんが反論する前にピッと曲を入れる謙也。
「はあ……音痴やと思うから歌わんようにしてたのに…。」
ぼそっとつぶやき、財前くんは歌いだした。
「………なんなん、こいつ…ごっつうまいやんけ…」
謙也の言うとおり。
音痴だ、と言っているのになんなんだ、この声は。
俗にいう、イケボや…。
え、ほんまなんなん?
こんなすごい部分を見せつけられて、ときめかないわけがないわけで。
「っ……雪っ…!」
思わず、雪に抱きついた。
…顔が緩み、赤いのを隠すために。
雪は、分かっているようで、苦笑いして、ぽんぽん、としてくれた。
うらやましそうにこっちを見とる謙也は知らん。
あー!
ほんま、財前くんかっこいいわ!!
*
カラオケでクラスの男子が、イケボでときめいたっという実話をもとに作ってみた。
財前君は、もちろん音痴じゃないですよ!!