「だからー作ってくれればいいって言ってんだろぃ」
「嫌です…!」
今私がいるのは立海大付属中の男子テニス部部室。
…ちなみに私は家庭部であって男子テニス部のマネージャーじゃない。
なのに、迫られてます。
同じクラスの丸井君に。
「あ、の…丸井くん」
「あ?」
「…男子テニス部って入っていいんでしたっけ?」
「別にいいだろんなこと」
「よくないです!ルールを守らなければ真田くんに怒られてしまう。
真田君はあの人と仲いいからあの人にそのことを話してしまう。
そしたらあの人は私に愛想を尽かしてしまう!!そんなこと嫌です!」
「……あの人っていうのが誰かはしらねえけど、そんなに上手くいくもんなのか?」
「もしも、です。でもそのもしもが起こってしまったら…!!」
「ねえ、そこの子。ここ、男子テニス部の部員以外立ち入り禁止なんだけど?」
「げ、」
後ろを向けば、
「ゆ、幸村君……!」
「あれ、なまえ。どうしたのこんなところで…」
「そ、それは…」
「お、俺が無理やり連れてきたんだよ幸村くん!」
「へえ……それは本当かい?」
ちらちらと話を合わせろ、とでも言うように丸井君がこっちをみてきたのでこく、こく、と必死に頷いた。
まあ、あながち嘘でもないし。
「フフ…ブン太、グラウンド100周ね」
「ちょ、ま「ちなみに拒否権ないよ」
「俺にはこれだけじゃ足りないと思うんだけれど。だって人の大事な大事な可愛い可愛い彼女に手を出しているんだから。」
ね?と、いう幸村君に丸井君は「みょうじ、幸村くんの彼女だったのかよ…」とつぶやき青ざめた顔で出ていった。
どうやら、走りに行ったらしい。
「さて…と」
くるり、とこっちをみる幸村君。
丸井君に話しかける声がいつもよりも低かった幸村君。
そんな幸村君の声を思い出して私は幸村君が怖くなった。
だから思わずうつむいて、幸村君から目をそらした。
「…なまえ?」
「や、…」
言ってからハッとした。
幸村君を、幸村君を、拒絶してしまった。
おずおずと彼を見ると、
幸村君は、綺麗な顔を切なそうに歪ませていた。
「ごめん、なさい…ごめんなさい…」
お願いだから嫌わないで、
自分勝手なのはわかってる。
拒絶したのは私なんだから。
「なまえ、」
呼ばれた、と思ったら幸村君に抱きしめられた。
「謝らなくていいよ。…怖がらせちゃったみたいだね」
「……丸井君に頼まれたの」
「何を?」
「…お菓子を作ってくれって」
「…へえ。」
「で、でも断ったよ」
「…うん。…ねえなまえ。わがままいっていい?」
「…何?」
「お菓子作るなら、俺以外にはあげないで」
そう言って微笑む幸村くんの声はいつもと変わらなくて。
「っ…うん!」
とても、愛おしく感じた。
*
好きな子には優しい幸村を目指しました。
残念な結果になりました。
口調がつかめません。
グダグダになりました。
なんで部室なのかは突っ込まないでください←