3月5日、火曜日。
何もない平日。
でも、今日は特別な日だ。
そう、我らが立海大付属中男子テニス部部長幸村精市の誕生日。




「おめでとう!」
「幸村くんおめでとう!」
「幸村君、おめでとう!これ!」
「おめでとう幸村君!よかったら…」



「ふふっ、ありがとう」


にこ、と微笑み幸村はプレゼントを受け取る。
そうすれば、きゃあ、と黄色い声があがる。そして幸村は私が持つ紙袋にもらったプレゼントを入れた。
これで紙袋いくつめだっけ。教室に3袋、部室に7袋、そして私の右手に3袋、今入れている袋もいれると計14袋。
…私は思わずため息をついた。

「何ため息ついてるの」

ほかの子に聞こえない声で私にそう、声を低くしていう幸村。
その間にもどんどん紙袋の中にはプレゼントが増えていく。
花束、手紙…種類は様々だ。

「……ため息もつきたくなるよ」

私の彼氏様は、ほんっっっっとうに、人気者だもの。





「ふー…一息だね」

そう言って部室にもどって思いっきりのびをする幸村を横目に、私は、紙袋の整理を始める。

「…大変そうじゃのう」

「んー気持ちはとーっても嬉しいんだけどね…」


そう言って苦笑する幸村。

「こんなに持って帰るの大変そうですね…」

「ん?なまえにもってもらうんだよ」

思わずぴた、と動きが止まる。
去年もだったし想像していたことだけれど。

「まあ、今日は下校時刻まで部室でないつもりだし、あとはレギュラー陣に祝ってもらうだけだね!!」

「一生懸命用意したんだぜぃ!」

「ふふっ、ありがとう。」

私は盛り上がっているレギュラー陣に小さくため息をつき、黙々と作業を続けた。




「そろそろ終わらないと時間ですね…」

「ねえ」

柳生が時計を見てつぶやいた時だった。
不機嫌そうに幸村が口を開いた。

その不機嫌さといったら半端ではない。
誰かが何かをしでかしたのだろうか、と作業していた手を止めて、幸村をみると、こっちを見ているではないか。
おもわずばさり、と紙袋を落とす。

「あのさ、もう下校時刻なんだけど」

「だから、こうやって紙袋の中身の整理を、」

「はあ…お前は俺の何?」

「…テニス部マネージャー、兼彼女…」

「ならなんで、プレゼントくれないわけ?」

計14袋もあるというのにまだ求めるのか。

「こんなに、たくさん貰ったからメール送ったしいいかなって」

「…で、用意してないと」

それは違う。
バックの中にプレゼントは入っている。
小さな花束とクッキーが。

「ちが「まあいいや、今から貰うし」

そう言ったかと思うと、小さなリップ音がした。

思考、が停止する。

「幸村君やるじゃん!」

「お、俺らの前でしやがったぜ…」

「ま、まあ、お誕生日ですしね!」

「さすがうちの部長じゃ。」

「幸村部長流石っす!」

「ぶっ!部室でそのような行為たるんどる!!!」

「弦一郎。誕生日なのだから見逃してやれ」


そんなレギュラー陣の声で我に返る。
そして顔に熱が集中したのを感じた。

「ゆ、ゆ、ゆきむら!!!」

「いいじゃんべつに。今の今までプレゼント渡さずに、レギュラー陣のお祝いも参加せずに、
朝会った時にプレゼントくれないから嫉妬させようと思ってプレゼント受け取るのについてこさせたり、プレゼント帰るとき持たせるって言ったのにやきもち焼かないなまえが悪い」

そう言って口を尖らせる幸村。
理不尽なのでは、とつっこみたくなるのをぐっとこらえて、ごめんね、と背伸びして幸村を撫でる。
とってもかわいい、と思ったのは私だけの秘密。








お誕生日おめでとうございます!!!!
ツイッター、ピクシブのほうでやっていたのでこっちになかなか手が回せませんでした!!!イラスト5枚、ケーキ、食べられる薔薇、立海R陣のチョコとかいっぱい用意しました!!今年は!!!
でも3月5日に間に合って本当よかった!!




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