「さむいねー」
「そうじゃのぅ」
「なのになんで私は学校の、しかも屋上にいるんだろうねー」
「さあのぅ」
「お前が呼んだからだろ!!!!」
のんびりとした声におもわず、ばしっと仁王の頭を叩く。
「酷いのう…」
「はあ…で?なんのよう?」
こんなクソ寒いなか私はこんなところにいたくない。
寒いのきらいだし。それぐらい知ってるじゃない、あんたは。
中学校の時から私の彼氏なんだからさ。
「……」
「…」
「…………」
「いやいやいやいや。なんでそこで黙るのさ」
「なんとなく?」
「五秒以内に答えよ。でなければ私は帰る」
そう言ってくるり、と仁王に背を向けた時だった。
「ちょ、まちんしゃい!」
そう言って慌てて仁王が私の腕を掴む。
「…なに?」
「…happybirthday」
そういって取り出したのは、小さな箱だった。
「…開けてもいい?」
「おん」
わずかに口元を吊り上げる仁王に疑問に思いつつ、嬉しさに身をおどらせながら箱を開けると
そこには何もなかった。
「…こんなことのために呼んだの?」
こっちは、とっても嬉しかったのに。
覚えててくれたんだ、って。喜んでたのに。
「…俺を誰と思っとる?」
「…詐欺師」
「そうじゃ…」
にっと笑い私の手を取り、私の胸の前に持ってくる。
「1、2、3!」
そう仁王が言ったかと思うとちゅ、というリップ音と唇に何になにかが当たる感触。
それと共に感じる、指の違和感。
「ゆび…わ?」
「正真正銘の誕生日プレゼントじゃ」
「…ありがと。ごめん…」
「謝ることなか…お前さん、もう結婚できる年じゃな」
「え?あ、そうだね…」
私ももう16歳か。
ということは、仁王と付き合ってからもうすこしで2年経つのか…。中二の仁王の誕生日に私が告白したから。(というか、そうなるよう仕組まれたから)
「付き合ってから2年経つんか…なまえ。あと2年、あと2年まちんしゃい」
「?どういうこと?」
「あー…あと2年経ったら俺は18になるけぇ、結婚できるじゃろ?その指輪はそれまでの代わりじゃ。2年後には本物を用意しちゃる」
その言葉はとても嬉しい。
でも、私は素直な性格じゃないから。
「……に、2年後に私があんたのこと好きとは限らないじゃないっ!」
と言って仁王に抱きついてやる。
すると頭上から、
「安心しんしゃい。たとえ2年経っても俺の虜のままにしちゃるぜよ」
と余裕ぶった声がした。
*
お誕生日おめでと!!ということで、ふぃろんへ捧げます!!
久しぶりの短編で文章力がかなりしんぱいだけれども…!
書いててかなり恥ずかしかったですん…!((