「………戦闘不能!!よって勝者、柳!」
「…ふぅ」
思わずため息のでるバトルだった。
何せポケモンがトレーナーをまだ信頼しきれていない。
…相手は、最後のジムがここ、と言っていたな。
最近は実力者でさえポケモンとの絆ができていない。
まだポケモンを持ってまもない子供たちの方が信頼し合っているように見える。
いや、むしろ実力者だからこそ、なのだろうか。
強い者を見つけ捕まえてはかえ、捕まえては変え。
実際に他のジムから聞いた話を基づいて作ったデータとは全く異なる、対リッカイジムのポケモンで挑んでくる挑戦者が多くなった。
はっきり言って、つまらない。
大抵は同じポケモン、同じ動き、同じ技を使ってくるからだ。
データなど必要がないくらいに。
「……こら、ユクシーやめなさい」
フィールドから離れ、もう一度ため息をついた時だった。
ユクシーもどうやらつまらなかったらしく、俺のライブキャスターを弄りだす。
ライブキャスターにたまたまでてきた名前に意識が集中する。
「なまえ」
別の地方からやってきた、俺の同じ年の少女。
そして久しぶりに見た、どんなポケモンにも好かれる少女。
出会って一番に驚いたのは、芥川のえるるが懐いていたことだ。
えるるはとてもじゃない限り人に懐かないことで有名だ。(俺たちジムの者の間でだが)
そして、ユクシーが彼女をみてすぐに懐いたことも驚いた。
なまえはユクシーが人懐っこいと思っているようだが、ユクシーだって誰にでもなつくわけではない。
基本的にポケモンに信頼されているトレーナーにしか懐かない。
まあ、例外もいるが。
彼女は今どうしているのだろうか。
精市が合流した、と言っていたようだからおそらく大丈夫なのだろうが。
……いや、まて。
「精市がいるから」こそ危険ではないのだろうか。
あいつは大丈夫なのだろうか、精市に何かされていないだろうか、と一度考え始めるとどんどん心配になっていくのが人の性というもの。
俺も、それには逆らうことができないらしく、気がつけばなまえに連絡をとっていた。
プルルル、プルルガチャ、
「あ、なまえ『やあ、蓮二。元気そうでなによりだよ』……」
くらり、と思わずめまいがした。
あわてて俺に近づいたユクシーに大丈夫だ、と口で伝える代わりに頭を撫でる。
「…久しぶりだな、精市。すまない、俺はどうやら間違い電話をしてしまったようだ」
『大丈夫、これなまえのだから』
「…」
『彼女今、取り込み中だから俺が代わりに出たん…ねえ、財前なにしているんだい?』
『別に、食ってたもんをなまえさんにあげてただけっすわ』
『それでも、あげ方っていうものがあるんだろう』
「おい、せい…」
「デラッシャーン!!!!」
精市、と言おうとした時だった。
シャンデラ特有の鳴き声が聞こえたかと思えばブツッと電源の切れる音がした。
「……」
「きゅう…?」
心配そうにユクシーがこっちをみる。
「……ユクシー、あいつを呼んできてくれ」
「…!きゅう!」
ユクシーが驚いたのは俺が開眼したからだろう。
いつも以上の速さであいつを呼びに行った。
「きょううううんんんん!!!!!!!」といつもの倍以上の声を出して。
…精市に制裁を与えるのは不可能だから、かわりにあいつを使って財前に制裁を与えてやろう。
さて、まずはなにからはじめるかな?
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リクエストありがとうございました!
…まだ、文章力が戻らない状態で書いているので、gdgdかもしれませんが、こんな感じでよろしいでしょうか…?
これからもcherryをよろしくおねがいします!