「そういや…お前と出会ってからかなり経つんやなあ…」

そう言って俺は相棒であるブラッキー…ブラックをなでる。
すると興味なさげにつん、とそっぽをむくブラック。
やけど俺はわずかに揺れるしっぽを見逃さなかった、

「ふっ…揺れてんで?尻尾」

はっとしているけど時すでに遅しや。
お前が喜んでんのはようわかったからな。

そう口にはしなかったがブラックには伝わったらしく、ゆっくりと歩み寄り、俺の膝の上に乗っかってきた。

「お前と出会ったんは腹立つけど謙也さんがきっかけやな…」








「ここらへんなんや!!」

「そっすか」

「…なんや、えらい乗り気ちゃうやん」

「ポケモンもつ気になってないんで」

「たく…お前はほんまメンドくさいやつやな」

「ケンヤさんには言われたくないっすわ」

「んなっ…あ!おったで!」

シテンホウジタウンのはしっこでイーブイの家族がたくさん住んどるってことで、ケンヤさんに連れられてきたんやっけ。

「ほんまにイーブイいっぱいやな…」

「にしても、ケンヤさん何でイーブイなんすか」

「当たり前やろ!これで進化させるんや!」

そう言って取り出したんはかみなりの石だった。

「…サンダースに進化させるんすか」

「せや!!んでスピードスターを覚えさせるんや!!てわけで行くで!ステラ!スピードスター!!」




「よっしゃ!ゲットやで!!よろしくな!」

そう言ってボールからイーブイを出すケンヤさん。

「せやな…お前はスターや。たのむで」

そう言うと、スターと名付けられたイーブイは嬉しそうに鳴いた。
…と思ったら、タタタ、と群れに戻っていくスター。

「え、え、スター…?」

呼ばれたスターは、こっちに戻ってきた。
…一匹のイーブイと共に。

そして、さみしそうに鳴くスター。

「……スター?」

俺はその様子を見てふと、思いついた。

「そいつ、スターの兄弟ちゃいます?」

スターは、それを聞いて嬉しそうに鳴く。

「そなんかー…でも、もう俺持てる数最大なんや…」

白石さんが出している条件は4匹まで。それ以上持つことは禁止されている。
今ケンヤさんが持っているのは、スターを除いて3匹や。

「…せや!財前!」

「なんすか」

「お前の手持ちにし!」

「は?」

「お前、手持ち一匹もおらんのやからええやろ別に」

「は?」










「それで、結局お前を持つことにしたんやもんな」

ポケモンに興味なかったはずなのにいつのまにかのめりこんで、
気づいたら、シテンホウジ出とって。
今ここに至るわけやもんな。

そう思いながらぐるりと見回す。

俺とコイツしかいない四天王の部屋の一つ。

最近は全くと言っていいほど楽しませてくれる挑戦者も来なくなった。



「まあ、これからも頼りにしてるで、ブラック」

そう言って微笑めば入口でガシャン、と音がした。


「お、お前が笑っ…」

嫌な予感がしつつ、音の方を見るとそこには、他の四天王の一人が立っていた。

「っ!!気のせいや!!」

「財前が笑った!!」

「自分、待ち!!」

そいつを追いかけると後ろからついてきたブラックに俺はまた、口元を綻ばせた。

はよ、こいつと俺を楽しませる挑戦者が来ないだろうか。

これからの出会いなど知らずにそう考えながら。




長くなってしまった…!!

22222hitでリクエストしていただいた福丸様、読んでくださった皆様ありがとうございました!


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