「ただいま」

「ふふ、おかえ…あれ?ハユリそのタマゴは?」

「…サエからもらった」

「…佐伯から?」

「そう。」

私は精市に、タマゴをもらったいきさつを話した。






「へえ...あいつそういう事情があったんだ」

「ん?」

「ううん、なんでもない」

にこっと笑う精市。
そんな精市に疑問を覚えつつたまごをなでた…時だった。
ボールからポケモンが飛び出す音がして、しぃが出てきた。

「しぃ、いきなりだとびっくりするじゃない」

そう言って苦笑するとしぃはこっちをみて嬉しそうに鳴く。
……意味がわかっているのかしら。


「ところで精市」

「ん?」

「私たちと別れたあと、どうしてたの?」

「なんで?」

にこっと笑って言う精市。
だけど目は笑っていない。

「…なんとなく」

そう言って答えをはぐらかすと、苦笑して、精市は立ち上る。

「じゃ、秘密。…今日は疲れたから、もう寝るね。ハユリ、おやすみ」

そう言ったかと思うと部屋を出ていった。

「…私たちも、寝よっか。セイガクジムに挑戦しに行くし」

明日はよろしくね、ぶぃ。

心の中でそう呟いて、私は卵を抱きしめながら布団に入った。









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テーマ「人外ファンタジー」
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