「ただいま」
「ふふ、おかえ…あれ?ハユリそのタマゴは?」
「…サエからもらった」
「…佐伯から?」
「そう。」
私は精市に、タマゴをもらったいきさつを話した。
*
「へえ...あいつそういう事情があったんだ」
「ん?」
「ううん、なんでもない」
にこっと笑う精市。
そんな精市に疑問を覚えつつたまごをなでた…時だった。
ボールからポケモンが飛び出す音がして、しぃが出てきた。
「しぃ、いきなりだとびっくりするじゃない」
そう言って苦笑するとしぃはこっちをみて嬉しそうに鳴く。
……意味がわかっているのかしら。
「ところで精市」
「ん?」
「私たちと別れたあと、どうしてたの?」
「なんで?」
にこっと笑って言う精市。
だけど目は笑っていない。
「…なんとなく」
そう言って答えをはぐらかすと、苦笑して、精市は立ち上る。
「じゃ、秘密。…今日は疲れたから、もう寝るね。ハユリ、おやすみ」
そう言ったかと思うと部屋を出ていった。
「…私たちも、寝よっか。セイガクジムに挑戦しに行くし」
明日はよろしくね、ぶぃ。
心の中でそう呟いて、私は卵を抱きしめながら布団に入った。