「俺は行かないでおくよ」

「え?」

「うちのバカが入りたがらなくてね」

そう言って精市はシェイミを指差す。
たしかにシェイミはガクブルガクブルしていた。

「いやなんでしゅー…お、おくになんかいてほんとにいやなんでしゅ…」

「たく…ごめんね?ハユリ」

「いや、うん…仕方ないよ…じゃあ、いってきます」

「ふふ、がんばれ。いってらっしゃい」

わたしは精市に見送られ、ジムの中へと入っていった。



ウィーン、という音と共に足を踏み入れる。

「え…」

目の前には、山がそびえていた。
これはまた変わったジムだなと、思っていると、右の方から気配を感じる。
不思議に思ってそっちを見るとそこにはメガネをかけた男の人がいた。

「このジムに何か用か?」

「あ…と、ジム戦しに来たんですけど、」

「…もう、5時過ぎてるぞ?」

「あ、やっぱりだめですか…」

そう言って思わずうつむいた時だった。
男の人はふ…と笑ってこっちをみた

「普段なら追い返すところだが、まあいいだろう。今回は特別に俺のみが相手になろう。」

「え、てことは…」

「自己紹介が遅れたな。セイガクシティジムリーダー、手塚国光だ。タイプは岩・地面を主としている。よろしく頼む。」

「あ、はい…あ、私はカノコタウンのハユリっていいます」

「カノコタウン…聞いたことがないな…」

「あ、と…実は言うと…」

私は、手塚さんに事情を説明した。

「ほう…噂のトレーナーだったのか…」

「噂の?」

「ああ。白石に勝ったと、ジムリーダーの間では噂になっているんだ。では改めて行くぞ。試合形式はシングルバトル。今回は特別に使用ポケモンは一体とする。では、油断せずに行こう!」

試合、開始!









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