「ふわぁ…」
「ふふ…ねむそうだね」
「まあ、昨日寝るのが遅かったしね」
昨日はシテンタウンのみんなとどんちゃん騒ぎで、寝るのが明け方だったからな…そう思い、苦笑していると、てててっとシェイミがこっちに駆け寄ってきた。
「ハユリ!ハユリ!これあげるでしゅ!」
そう言って加えてたのは一輪の花。
「ありがとう、綺麗な花だね」
「ふふ、その香りは人を癒す能力があるって言われているんだよ」
「へえ…珍しいね」
「まあ…君の地方では珍しい、というかないからね」
「……ねえ、精市」
「ん?」
「思ったんだけどさ」
ふと思ったことを口にする。
「精市って…なんで他の地方のことに詳しいの?」
「……どういうことだい?」
すこし、ほんの少し私と精市のあいだに流れる空気が重くなる。
精市は笑ったままだ。
「昨日お祭りで仲良くなった人と話してて、私が別の地方から来たって言ったら、別の地方があることすら、知らなかったみたいだから、」
「…」
「他の人にいっぱい聞いても、知らない人が多かったから」
光君や柳くんは別の地方があること知っていたけれど、詳しくは知らないみたいだから、まだわかる。
でも、精市は詳しすぎる。
この地方にあって、あっちにないこと。
あっちにあって、こっちにないこと。
あっちの文化、あっちにあるもの。
色々しってる。
なんで?
知っている内容も内容だ。
まだ、昔から伝わるゼクロムやレシラム、そういうポケモンが関係する伝説とかだったらわかる。
でも精市はそれだけじゃない。
ここ2年のあいだにホドモエにできたPWTのことも知っていた。
しかも門番の柳生さんは私があの門を通った初めての人間って言っていた。
じゃあ、なんで二年内の出来事を知っているのだろうか。
「ねえ精市、どうして?」
*
PWT…ホドモエシティに存在する対戦施設。ポケモンワールドトーナメントの略称。ホドモエシティは、BWから存在する、イッシュ地方の町です。