「…あの白石にねえちゃんが勝った…」
「ありがとう、しぃ」
そう言ってしぃを抱きしめれば、照れくさそうに上を向くしぃ。
「…モシも、ありがとう」
そう言うと、ボールがわずかに動いた気がした。
「…完敗や」
「!蔵之介君」
「こっちのほうが数は上やったのに叶わんだ。……ハユリ、自分にこれ渡そ」
「これは…!」
「ここのジムのバッジや。これがあれば、四天王に挑めんで。まあ、あと7個は集めやなあかんけどな」
「…うん!!」
「…もう、シテンホウジタウンでてまうんか?」
「んー…少なくとも明日には出たいと思ってる」
「そか…なあ、もうちょっとここにおらへん?」
ぐっと近づいてくる、蔵之介君。
「は?」
「自分のスタイルに興味を持ったんや。ポケモンを思いやり、きちんとした意志を持ってプレイする、そして無駄の少ないエクスタシーを感じさせるバトルスタイルにな」
「は?え?」
エクスタシーを感じるバトルスタイルってなんなの。
どうしようか、と思った時だった。
ものすごい勢いで何かがこっちにきた。
「ブラック!シャドーボールや!!!」
シャドーボールが、その「何か」にあたり、そして「何か」は、私と蔵之介くんの前で止まった。
「やあ、白石。久しぶりだね。ところで、ジムの中で何してるのかな?」
「何か」の正体は、にっこりとわらった精市くんだった。