「おおきにな、ロズエル。よし、次行くで!!」
「ええ!じゃあ、モシありがとう!ゆっくりやす「シャーン!!」
さっきよりは勢いは弱まったとはいえ、まだ雨が降っているフィールド。
それに加えてロズエルから受けたダメージが大きいため休んでもらおうとしたら、モシに遮られた。
「……まだ、戦いたいの?」
そう尋ねるとうなずくモシ。
「…わかった。」
「いけ、フシギエル!!」
蔵之介君が次に繰り出してきたのはフシギバナだった。
タイプは圧倒的にこっちが有利。
「いくよ、モシ!はじけるほのお!」
技はフシギエルに命中した。
「…オーバーヒートを打った後やのにその威力…元々特攻が高いポケモンやけどさすがやな。でもな、ハユリ。こいつはちょっとやそっとじゃやられへん。」
…蔵之介くんの言うとおりだ。フシギエルに命中したものの、あまりダメージはおっていないみたいだ。
「…あがった」
雨があがった。
それとともにモシの炎もボッ、と火力が増した。
「…反撃や!フシギエル!!」
そんなことを気にしない蔵之介くんの言葉に攻撃態勢をとり始めたフシギエル。
私はス、と手を伸ばし、モシに指示を出す。
火力を上げて、という私とモシの間の合図だ。
モシはその指示に気づき火力を上げた。
「火力を上げても意味ないで!!どくどく!!」
はっとしたけれど、もうおそい。
モシは猛毒状態になった。
「く……モシ、オーバーヒート!!!」
特攻がたかい、モシといえどもオーバーヒートを2発うってしまったら特攻はかなり減ってしまう。
だから、これで決めなきゃ。
そんな思いは届いたのか。
モシは大きく鳴いて、火力を上げた。
そして、フシギエルは戦闘不能になった。
「フシギバナ、戦闘不能!!勝者、シャンデラ!!」
そう光くんが言ったのとほぼ同時だった。
シャーン、と小さく泣いてモシはどさり、と地面へと落下した。
「しゃ、シャンデラ戦闘不能…?」
すこし困惑したように、光くんがそう言った。
おそらく、毒で体力が削られたのだろう。
でも、モシは頑張ってくれた。
「ありがとう。ゆっくり休んでね、もし」
その頑張りに感謝しながら私はボールの中へ、戻した。
「俺の手持ちはあと1体や。そっちは?」
「私もあと1体よ」
「…ほんまにか?」
「…うん」
…気付かれた、だろうか。
一瞬どきりとしたが、蔵之介君が何もなかったように「じゃあ、次で決着やな」といったためほっと胸をなでおろした。