「オノノクス、戦闘不能!よって勝者はハユリっ!!」
「やった!ありがとう、みんな!!」
そういって、6匹のパートナーの方を向くと、みんなも嬉しそう。
「……モシ」
その中の、一匹を私は呼んだ。そうすると、どうしたの、とでも言うように「モシ」と私が名づけたシャンデラがゆっくりこっちに来た。
私は彼を、ぎゅっと抱きしめた。
「ごめんね…4人のなかで、私だけ、夢を叶えるのに、みんなより2年多くかかっちゃった…」
幼馴染3人は、2年前に夢を叶えて、更に先へ進んだ。
私は止まったまま。
でも、今日で止まったままの自分にはサヨナラ。
ようやく夢を叶えた。
イッシュ盤のポケモン図鑑を全部埋めて、そして、チャンピオンに勝つこと。
とても時間がかかった。
でも、叶えることができた。(ゼクロムやレシラムは、幼馴染の力もあったけど。)
大きな達成感。
そして、
すごい勢いで襲ってくる、これからへの不安。
幼馴染のうち、1人は、ジムリーダーになった
1人は、博士の助手に。
そして最後の1人は…、大切な「トモダチ」を探すため、旅立った。
じゃあ私は?
私は夢を叶えた。
じゃあ、そのあとは?
四天王に挑みながら思ったこと。
「……これから…どうしよう…」
ぽつ、と出た言葉。
「きみ、これからどうするかきめてないの?」
ぱちくり、としてチャンピオンであり、私の友人―――――アイリスが私に尋ねた。
「え…あ、うん…」
「だったらさ、また旅したら?」
「…イッシュ地方を?」
「ううん!新しい地方!」
「…カントー?シンオウ?ジョウト?それともホウエン?」
「ちがうよ!なんかアイリス、誰かから聞いたんだけど他の地方と交流しない、変わった地方が最近発見されたんだって!そこにはいろんな地方のポケモンがいーっぱいいて、まだいろんなことが知られてないから、みんな研究したいみたい!…でも、」
「…でも?」
「その地方にはなんでかわからないけどこっちの地方から入れる場所が一個しかなくて、しかもそこには番人がいるの!で、その番人を倒さないと中に入れないらしくて…。ホウエン地方の元チャンピオンのダイゴさんでも叶わなかったらしいよ…」
「ええ!!?」
「でも、ハユリは実力あるんだし、頑張ってみたら?これからどうするか決めてないみたいだし、それにハユリはあのドラゴンポケモンが認めたぐらいなんだし!!」
「……」
どうしよう、か。
興味はある。
でも、私にダイゴさんでさえ倒せなかった人が倒せるのだろうか…
そう思っていると、くい、くい、と服を引っ張られた。
引っ張った主を見てみると、
「……モ、シ」
そこには、やる気に満ちた目をした私のパートナーが。
「…わかった。…アイリス、私、挑戦してみるよ」
「うん!ハユリならそういうと思った!もしなんかあったら、ライブキャスターで連絡して?」
「うん。…ありがとう」
こうして、私の新たな道が決まったのだった。
*
持ち物説明
ライブキャスター…通話ができるテレビカメラ機能がある、最新のトランシーバー。