「…そのシェイミはハユリさんの?」
「あ、いや…別の人の」
「ふーん……ハユリさん、他の地方から来たみたいやな」
「え?なんで?」
「俺のこと知らんから」
「…え?」
「あー…まあ、俺この地方でまあまあ強いから有名なんすわ。だから」
もっと彼について聞いてみたかったが、なんだかあまり言いたくなさそうだったのでやめた。
「にしてもブラックナイスや。結構好みのタイプやな」
「え?光くん何か言った?」
「いや、何も?ところでハユリさん、いまから俺と」
「あれ、こんなところで何やってるんだい?財前」
財前くんが何か言おうとした時だった。
急に精市がす…と私と光くんの間にはいり、光くんの方を向いた
「げ…貴方は…ゆき「やあ久しぶりだね。うん、俺は精市だよ。ところで強くなったかい?」……まあ」
「え、精市知り合い?」
「うん、まあね」
「…ハユリさん、ゆきむ「うん、ハユリは知り合いだよ。俺、精市のね」
…どうしたのだろうか。
精市はなぜか「精市」という言葉を強調して、財前くんと言葉を遮っている。
理由を考えてもわからないので、考えないことにした。
「……はあ…わけわからんわ…」
「…ふふ、ハユリ。俺、財前と話したいことがあるんだ。だからそこで呑気に寝ているのを見ててもらえる?」
「え、」
「よし、じゃあ財前こっちにおいで」
そう言って精市は光くんを引っ張って宿の別室へと出ていった。
残されたのは、寝ているシェイミと私。
一体なんなんだろうか。そう思いながら私は、シェイミをなでた。