「あれ、手に持っているのって…」
「え?」
「それ、どこで見つけたんだい!?」
バッと私に近寄る、精市。
「え、あ、あそこの孤島だけど…」
そう言い、陸地を指差すと、精市が「あんなところにあったのか…」と呟いた。
「それ、譲ってもらえないかい?」
「え?」
「それはみどりのプレートだろ?」
「うん…」
「俺、今プレートを探している旅に出ているんだ」
「プレート…そんなにあるんだ」
「うん。各タイプのプレートがあるんだよ。」
「へえ…でも、どうしてほしいの?」
そう言うと、精市は、にこ、と笑った。
でも、目は笑っていない。
「ごめんねハユリ。言えないんだ」
「…」
「でも、俺はそれが欲しい。たとえどんな手を使ってでも。だから、それ、俺に譲ってくれない?」
精市は、『どんな手を使っても』といった。
私は今、脅されているのだ。
にこ、と初めて会った時のような優しい笑みを浮かべているけれど。
「…はい」
だから渡した。
……私は、そこまで必要としていないし。
その時私は気がつかなかった。
手持ちの子がヘビーボールの中で必死に『そいつに渡すな!!』と叫んでいたことを。