テニス部の部室のドアをノックしようとしたら、
「……ゆ、幸村…」
小さく舌打ちをして宍戸くんが出てきた。
「なんやなんや?…千佳ちゃんやん。」
「噂をすればってやつだな!」
「え、え…あの…」
ぞろぞろと部室から出てくる部員の人達。
そんな状況にあたふたしていると。
「何しにきたんだよ、アーン?」
噂の(もうほんとに)氷帝学園部長、跡部景吾がこっちに来た。
「ここはレギュラー陣以外は禁止だぜ。さっさと用を言って帰れ」
傲慢な態度にムッときたがそれを堪えて言った。
「私は、レギュラー陣のマネージャーとして入部を希望しに来ました!!」
「……」
とたんにシン、とする部員たち。
「…お前、マジで言ってんのか?」
口を開いたのは、宍戸くんだった。
「あ、当たり前だよ」
「…なんで入ろうと思ったん?」
「ジローちゃんから話を前から聞いててレギュラーの人たち
いい人そうだな、って思ったから…」
更にシン、とする部屋。
「…幸村先輩、マネージャーって基本的に禁止されているんです。その…部員目当てに来る人がほとんどだから、」
私のことを先輩と呼んだということは2年生だろうか。
長身で銀髪の男の子が申し訳なさそうにそう言った。
やっぱり、ダメだったか。
ここに来たとき、立海と違って
マネージャーが見当たらなかった。
氷帝学園男子テニス部の人気度は知っていたから
もしやと思ったけど…
そう諦めたとき、
「跡部!千佳ちゃんは立海に通ってた時マネージャーやってて
幸村も認めるほどの実力だC!だから、」
「もういい、ジロー。」
「…跡部」
「何そんな顔してんだよ。ハア…仕方がねえな。俺が榊監督に頼んでやる」
「跡部!!やったね千佳ちゃん!部活も一緒だCー!」
「まだ決まったわけじゃないですよ…」
そう言ってため息をつく、髪の毛がサラサラそうな目つきがきつい男の子。
他の人を見てみると誰も不満そうな顔はしていない。
むしろ嬉しそうな顔をしてくれている人もいる。
そのことに嬉しさを感じながら、
マネージャーになれますように、と祈った。
*
初のヒロイン視点!!