「今日は転校生がやってくるからな!仲良くしてやれよー」
担任の言葉に、クラス中が騒ぎはじめる。
こんな時期に、だとか、女子か男子か、とか。
誰が来るかだいたい予想はついている。
幸村精市…つまり、「神の子」の従兄弟。
驚きの事実にあの跡部や侑士でさえ動揺を隠せてなかった。
朝練にいなかった(どうせ寝坊だ)慈郎はあいつを知ってどんな反応をするんだ?
そう思って慈郎を見るとすやすやと気持ちよさそうに寝ていた。
そんな慈郎に苦笑しているとガラリ、とドアが開いてあいつが、―――千佳が入ってきた。
「立海大付属中から来た幸村千佳です。よろしくお願いします」
にこっという効果音がよく似合う笑顔で笑う幸村。
そのあとから、担任が出て行くのでハッとするまでの記憶は、覚えていない。
*
「ふわあ〜…よく寝たC」
担任が出て行き、休み時間。
大きく伸びをして立ち上がる慈郎。
たく…いつまで寝てんだよ。朝練にもこないで…。
まあ、いつものことだけどよ。
「…あれ!?」
目をパチパチさせ幸村を見る慈郎。
さすがのこいつも、制服が違うから転校生には気づくか、と、考えながら幸村のことを簡単に説明しようとしたら、「千佳ちゃんじゃん!!」という慈郎の声に遮られた。
………なんでこいつが幸村のこと、知ってんだ?
「え!?ジローちゃん!?」
クラスの奴らに囲まれていた幸村がこっちを見て叫んだ。
…本日2つ目の驚きの事実。
慈郎と幸村が、お互いを知っていた。
*
…精進します……