キャーキャーといつものように黄色い声が飛び交う朝練
いつもながら、こんな早くにすげえと思う。
まだ、本鈴が鳴る一時間前だ。
そんないつもの風景の中、『あいつ』は立っていた。
周りとは違う服装。
それは嫌でも目立っている。
「おい、立海のやつがこんなところで何やってんだ、アーン?」
練習を中断して跡部の言葉に立海の制服だったのか、と納得する。
にしても、跡部の言うとおりだ。
何故神奈川の立海が氷帝に来たのだろうか。
そんなことを考えていると遠くにいた侑士がこっちに来た。
「何や、お嬢ちゃん。幸村に言われて偵察でもしとるんか?」
侑士の言葉にその場の空気が張りつめる。
「………せん」
わなわなと肩を震わせて、目の前の立海の女子はキッとこっちを睨んだ。
「精市くんは、立海のみんなはそんな卑怯なことしません!!私は今日からここに通うんです!!」
「そういや、神奈川から転校生が来るとか言ってたな…」
チッと小さく舌打ちをして跡部がつぶやいた。
「勘違いしてもうて堪忍な、お嬢ちゃん。」
「別に、いいです。分かってくれれば」
「おおきに。せや、学年と名前、教えてくれへん?これから同じ学校に通うわけやし」
「私は、三年の
幸村千佳です。幸村精市は私の従兄弟なんです」
すう、と大きく深呼吸して彼女は言った。
俺たちはそんなこいつの言葉に呆気にとられるしかなかった。
これが、全ての始まりとは知らずに。
*
宍戸さん視点です一応。
未だに口調がつかめてません。
そしてエセ方言…